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講演詳細

分類 一般演題
年度 2020
講演日時 2020年5月17日(日) 13:50〜15:38
会場名 G会場(B103)
発表番号 3G-08p
セッション名 食品機能(12)
タイトル Oleamideは行動範囲を制限したマウスの前脛骨筋萎縮を改善する
Oleamide improves tibialis anterior muscle atrophy of mice housed in small cages
著者 ○小林 恭之1、渡辺 夏美1、甲斐 建次1、杉本 圭一郎2、原田 直樹1、山地 亮一1
○Kobayashi Yasuyuki1, Watanabe Natsumi1, Kai Kenji1, Sugimoto keiichiro2, Harada Naoki1, Yamaji Ryoichi1
所属 1大阪府大院・生命環境、2長岡香料、
要旨 【目的】 座りがちな生活は運動不足を引き起こし、筋萎縮を呈する。生体内成分であるoleamide(cis-9-octadecenamide)は、食品成分として外因的にも摂取される脂肪酸アミドである。運動後に骨格筋の細胞間質でオレアミドのレベルが3倍以上に増加するが、詳細は不明である。そこで本研究ではoleamideの骨格筋におよぼす影響と外因性のoleamideの体内動態を追跡することを目的とする。
【方法】 行動範囲を制限し筋萎縮を誘発するため、マウスを通常の飼育面積の1/6のケージで4週間飼育した。行動範囲制限マウスにはoleamideを経口投与(50 mg/kg/day)した。また安定同位体oleamideを作製し、マウスへ経口投与することで外因性のoleamideの血中濃度をGC-MSを用いて測定した。さらにマウス由来筋芽細胞株C2C12細胞を用いて、oleamideの筋肥大作用を検討した。
【結果・考察】 通常マウスに比べて行動範囲制限マウスでは、前脛骨筋量と筋断面積が低下したが、oleamideを経口投与すると筋量と筋断面積が増加した。行動範囲制限マウスでoleamide投与はタンパク質合成の主要な経路であるmTOR経路を活性化させた。通常マウスと行動範囲制限マウスのoleamideの血中濃度は約50 nMであり、oleamide投与群は約150 nMであった。また外因性のoleamideを評価するために安定同位体oleamideをマウスへ経口投与した結果、安定同位体oleamideの血中濃度は、投与1時間後に約60 nMまで上昇し、投与6時間後まで維持されていた。in vitro実験において筋管細胞を100 nMのoleamide存在下で培養すると、筋管細胞は肥大し、mTOR経路が活性化した。さらに oleamideは、cannabinoid receptor 1(CB1)の発現量の低い筋芽細胞でmTOR経路を活性化させなかったが、CB1高発現下の筋芽細胞でmTOR経路を活性化させた。以上から、oleamideは行動範囲制限マウスの前脛骨筋萎縮を改善し、その分子機構にCB1を介したmTOR経路の活性化が関与すると推測された。
キーワード1 oleamide
キーワード2 skeletal muscle
キーワード3 mTOR